塾長
小学生の子どもが勉強をしないという悩みは、多くの親御さん達が持つ共通した悩みです。
勉強は将来子どものためになるとはいっても、小学生の子どもはなかなかそれを理解できず、勉強してくれません。
しかし、子どもが勉強しない理由は必ずしも子どもにあるとは限りません。
特に小学生が勉強しない理由は、親の関わり方にある可能性も高いのです。
そこでここでは、小学生の子どもが勉強しない具体的な理由をあげつつ、勉強を習慣化させるためのポイントを紹介します!。
そもそも小学生の子供が勉強しない理由はなに?
「勉強をしなさい」と言っても、全く宿題に手をつけず、スマートフォンやテレビ、ゲームに明け暮れている子どもは少なくありません。
親の方からすると、なぜ勉強しないのか不思議に思うかもしれません。
「こんなに子どものためを想って言ってあげているのに、どうして子どもは自分の気持ちをわかってくれていないのだろう」 そう考える方も多いはずです。
しかし、子ども側の気持ちになってみると、むしろ、勉強をする理由こそありません。
なぜなら、子どもには勉強へのモチベーションとなるものがないからです。 大人は、勉強をすることにモチベーションを保ち続けられます。
なぜならその勉強がいずれ結果となって帰ってくるとわかっているからです。
例えば、資格に関する勉強をする方であれば、その勉強が収入や地位に繋がることがわかるために、モチベーションを保つことができますよね? しかし一方、子どもは「勉強が何に役立つのか」わかりません。
「算数/国語/理科ってなんの役に立つの?」という疑問は、小学生が勉強に対してモチベーションを保てない理由を体現しているのです。
そのため、小学生のお子さんが勉強しないことを悩んでいる方は、まずは、子どもに勉強をしなければならない理由を理解させてあげることから始めるのがおすすめです。
勉強しない小学生に「勉強は役に立つ」ということを理解させてあげるには?
- 作者の気持ちを考えることが社会に出て役立つの?
- 円の面積を求めることが社会に出て役立つの?
- 英単語を覚えることが社会に出て役立つの?
これらは、多くの学校で日夜教師に投げ続けられている疑問です。
ほとんどの小学生にとって、これは本音だと断言してもいいでしょう。 こう聞かれると、大人は思わず口をつぐんでしまいます。
なぜなら、実際に社会に出て、小学校の教科の内容を使うことがほとんどないからです。
そのため、思わず答えをはぐらかしてしまうことが多いと思います。
もしくは、「テストでいい点を取れば将来の役に立つから」と、将来のことを例に出して納得させようとする方も多いでしょう。
実際、勉強が将来の役に立つことは事実です。
シカゴの経済学者、ゲーリーベッカー教授の研究によると、「学力が高いほど最終的な収入は高くなる」とされています。
そのため、子どもの「勉強は何の役に立つのか」という疑問に対して、「将来の収入や社会的地位のため」と答えるのは、決して間違えてはいないのです。
ただし、小学生に将来のことを説いたり、テストのためだと無理矢理納得させても、子どもがすぐに勉強してくれることはほとんどありません。
前述したゲーリー・ベッカー教授の研究を例に出しても、おそらく小学生の勉強に対する見解が変わることはまずないでしょう。
なぜなら、子どもからすると、それほど未来の話をされてもピンとこないからです。
子どもからすると、15年後に年収が100万円増えるよりも、15分後に遊んで得られる楽しさのほうが重要なのです。
よって、子どもに長期的な目標を説明しても、基本的には意味がありません。
子どもに勉強が役に立つことを理解させてあげるには、勉強に短期的な意味を持たせることが必要なのです。
では、実際に小学生の子供に勉強の意味を持たせてあげる方法はどうすればいいのか?
具体的な例をあげて次から紹介していきます。
小学生の子供に勉強に意味を持たせ勉強をさせるおすすめの方法
ある人に望み通りの行動をさせたいと考えたとき、重要になってくるのは、その行動に対する「報酬」です。
そして、報酬には「正の報酬」と「負の報酬」の二種類が存在します。 例をあげて説明しましょう。
「正の報酬」と「負の報酬」とは?
押したら好きな果物が出てくるボタンと痛みのある電流が流れるボタンの二つがあったとします。
このとき、より押されるのは果物が出てくるボタンでしょう。 なぜなら好きな果物は「おいしいもの」であり、食べることで快感を得られるからです。
このように、快感を得られるもの、得をできるものが一定の行動に対して与えられることを「正の報酬」といいます。
一方、ボタンを押して流れる電流は「痛み」であり、「不快感」です。
このように、本人にとって望ましくないものを「負の報酬」といいます。
一般的に、正の報酬を与えられた場合はその行動を繰り返すようになり、負の報酬を与えられた場合はその行動を忌避するようになります。
これを勉強に当てはめることによって、勉強しない小学生に勉強をさせることができるのです。
具体的には、以下の3パターンにわけられます。
- 勉強をすると正の報酬(褒める、お小遣いなど)を与えられる
- 勉強をしていないと負の報酬(叱られる、お小遣いが減るなど)を与えられる
- 勉強をした結果、正の報酬(テストの結果で褒められる、みんなに認められるなど)が与えられる
つまり、子どもが勉強をしていたら褒め、勉強をしていなかったら叱ることによって、子どもに勉強をさせることができるのです。
そしてその勉強によって結果が出たら、子どもと一緒に喜んだり、ご褒美をあげたりすることによって、小学生に勉強をさせることができます。
しかし、上述した理論に則って小学生に勉強をさせようとしても、うまくいかないことがあります。
前述した理論を破綻させてしまう「娯楽」の存在です。
娯楽は勉強の邪魔者? 子どもがスマホばかり見る場合
いくら勉強に対して正の報酬を与えても、娯楽がそれ以上の正の報酬を与えてくる場合、前述した理論は破綻してしまいます。
例えば、親が勉強をしたことによって褒めてあげても、子どもにとってはSNSで得られる「いいね」や、ゲームキャラクターの賞賛の言葉のほうが強い報酬として働くことが多いのです。
しかし、だからといって娯楽を完全に禁止してしまうことは、子どものためになりません。
なぜなら、娯楽を禁止することは子どもの将来に暗雲を落としてしまう可能性があるからです。
子ども時代に娯楽を禁止されて育った子どもは、親元から離れたとき、爆発的に子ども時代に欠けていたものを埋めようとする傾向にあります。
それが趣味程度で済むのならいいかもしれませんが、場合によっては私生活を蝕むほど趣味に没頭してしまう可能性があるのです。
その果てが
- ギャンブル中毒
- オンラインゲーム中毒
- 課金中毒
など、社会問題に行きついてしまいます。
つまり、子どもの娯楽を奪ってしまうと、「遊び方」を知らないまま大人になってしまうのです。
勉強は将来のために大事ですが、遊ぶこともまた同じように大切なのです。
つまり、娯楽は決して勉強の敵ではありません。どちらも、子どもの成長のために重要なことです。
しかし、前述したように、子どもが勉強に向かうためには、娯楽の存在が問題になることがあります。
特に子どもがゲームやSNSを心から楽しんでいる場合、勉強は娯楽の邪魔と捉えてしまうことがあるのです。
また、一応は勉強する姿勢を見せるものの、勉強中にスマートフォンばかり見て勉強がまるで進んでいないということもよくあります。
子どもがそうした状態になっている場合、どのように勉強させればいいのでしょうか。
その対処法がこちらです。
子どもに勉強をさせるキーワードは「習慣化」!習慣化させるための3つのポイント
褒めたり叱ったりすることで子どもに勉強をさせることが難しい場合、ぜひ考えるべきなのが「習慣化」です。
子どもが勉強をやりだそうとしないのなら、「勉強をやる時間」を作ってあげればいいのです。
例えば、7時半からは絶対に勉強をする時間と、ルールを定めるのです。
最初のほうはなかなかやる気を出さないかもしれませんが、続けていけばいずれは「やるのが当たり前」になって、子どもが勉強するようになります。
その時注意すべき点が4つあります。
それがこちらです。
- 具体的なルールを定める
- 親がサポートしてあげる
- 勉強時間中は娯楽から遠ざける
- ルールを定める
1つづつ解説していきますね。
具体的なルールを定める
1つ目は、具体的なルールを定めるという点です。
漠然と勉強をしろといっても、小学生では何をすればいいのか困ってしまいます。
また、時間だけを定めていても、ダラダラと続けて机に向かうだけの時間を過ごしてしまうでしょう。
ですので、ドリルの〇ページを終わらせて、答え合わせをする、という、具体的な指示をしてあげてください。
もし間違えていた場合は、そのページの復習をするなど、「勉強時間内にどんなことをしなければならないのか」を明文化しましょう。
また、娯楽の規制という面でもそうですが、「もし守れなかったら」「もしできなかったら」ということをあらかじめ子どもと一緒に定めておくことも重要です。
ルールを決めるときは親の押し付けではなく、子どもに「どうする?」と投げかけてから決めるのもおすすめです。
このときは親の言う通りにさせるのではなく、子どもに発言権を持たせ、「娯楽をどれくらいの時間やりたいのか」という意思を表明させてください。
それに対して、親側も「勉強してもらいたい時間」を提示し、理論立った話し合いをするようにしましょう。
その話し合いの様子は、動画や音声などで残しておくと効果的です。
親がサポートしてあげる
2つ目の注意点が、「親がサポートしてあげる必要がある」という点です。
特に最初の内は、時間を決めても絶対に勉強をしようとはしません。
ですので、まずは隣にいて、時間内にしっかりと勉強をするか、見張ってあげましょう。
このとき、理想なのは親も一緒に勉強をすることです。
もちろん、国語や算数を一緒に勉強する必要はありません。
資格の勉強でもなんでも、「親も勉強し、それが必要になる」ということを見せてあげることが重要です。
勉強時間中は娯楽から遠ざける
そして最後の注意点が、勉強時間中は娯楽から遠ざけるという点です。
小学生の子どもは快・不快の感情に素直なため、周りに少しでも楽しそうな環境があるとそちらに目を引かれてしまいます。
よって、勉強時間の間はペアレンタルコントロールなどでスマートフォンの使用を規制したり、ゲーム機のない場所で勉強したりしましょう。
まとめ:勉強の習慣化を一緒に考えよう
小学生が勉強しないというのは、子どもが快・不快の感情に素直なことを考えると、当たり前のことです。
特に情緒が安定していない小学生の間は、勉強時間を自分でコントロールすることはかなり難しいことだということを理解しましょう。
そのため、「勉強しない」ということを悪いことだと思う必要はありません。
子どもを責める必要もなければ、育てた自分が悪いということもないのです。
むしろ、それが当たり前だと考えましょう。
重要なのは、そこからどのように勉強をさせるかです。
褒めて勉強をさせるにせよ、習慣化させて勉強をさせるにせよ、重要なのは親と子どもの関わりです。
親子の関係を見つめなおし、子どもに勉強をする意味を考えさせてあげることがまず大切と私は考えています。
塾長
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