塾長
学習塾は、お子さんの学力をアップさせたり、成績をアップさせるための1つの手段です。
学力に不安があるお子さんはもちろん、受験やテスト対策のため、塾に行く子どもは少なくありません。
では、小学生の頃から塾に行くのはどうでしょうか?
行かなくてもいいと考える親御さんもいれば、絶対に行くべきだと主張する親御さんもいるでしょう。
もしかしたら、行くべきかどうか悩んでいる方や、通わせているものの、そのままでいいのか悩んでいる方もいるかもしれません。
そこでこの記事では、小学生のお子さんがいる保護者様で塾に通わせようか悩んでいる方に、学習塾に通わせるメリット・デメリットをいくつかピックアップして紹介します。
小学生が学習塾に通うべきかどうか悩んでいる方は、ぜひ参考にしてください。
そもそも小学生に学習塾は必要?保護者様の意見は?
そもそも小学生に学習塾は必要なのか?
1番気になるポイントだと思います。
結論からいえば、YESでもありNOでもある。
というのが私の意見です。
なぜなら、塾の必要性というのは、結局のところ子どもや家庭の状態によって変わるからです。
とはいえ、塾のメリット・デメリットを考える上で、必要性の問題は避けては通れません。
では、必要だと思う保護者様と必要ではないと保護者様の意見ではどのような違いあるのか。
こちらにまとめてみました。
塾が必要だと思う保護者様の意見
- 中学受験のために必要
- 今後の基礎固めのために必要
- 集中して勉強をするために必要
小学生の内から塾の必要性を訴える意見の多くは、小学校の勉強そのものよりも、もっと先のことを見据えていることが多いです。
例えば中学受験や、将来のことを考える親御さんほど、「塾が必要だ」と考える傾向にあります。
では逆に、「必要性がない」と考える親御さんの意見はどんなものがあるのでしょうか?
それがこちらです。
塾は必要ないと思う保護者様の意見
- 小学生の勉強内容は簡単だから必要ない
- 小学校の勉強内容なら親が教えられるから必要ない
- 小学校の内は遊ばせたいから必要ない
小学生の内に塾へ行く必要はないという意見は、「子どもの現在」を考えての意見が多いです。
どちらの意見も、子どものことを考えているのは共通しています。
なので、塾の必要性については「どちらの意見も正しい」と言えます。
小学生で塾に行くことは「普通」になりつつある
ただ、どちらも意見も正しいことは正しいですが、実は文部科学省やベネッセ教育総合研究所が実施している調査では、
昔に比べて小学生で塾に行くことは「普通」になりつつあるというデータ結果が出ています。
まずこちら文部科学省が実施した昭和60年~平成19年(2007年)までの推移です。
出典:文部科学省
文部科学省が実施した調査によると、2007年の段階で小学生の通塾率は25%前後でした。
しかし、ベネッセ教育総合研究所が2017年に実施した調査によると、小学生の通塾率が49%前後に増えています。
出典:ベネッセ教育総合研究所
もちろん、調査母体の違いや調査件数の違いはあるものの、それでも塾に通う小学生は昔に比べても徐々に増えつつあるといっていいでしょう。
つまり、小学生の通塾は一般的になりつつあると言っても良いわけです。
ただ、だからといって、絶対に塾へ通わせるべきだというわけではありません。
子どもを学習塾に通わせるときは、その影響を理解したうえで通わせることが大切です。
そこで、次からは実際に学習塾に小学生を通わせるメリットとデメリットをそれぞれピックアップしてみました。
まずは、メリットからです。
小学生を学習塾に通わせる5つのメリット
学習塾へ通わせる理由は、ほとんどの人は「学力のため」と答えるでしょう。
確かに、学習塾は「学力=テストの点数をあげること」に力を入れていることに間違いはありません。
しかし、学習塾にはそれ以外にも下記のようなメリットがあります。
- 問題の解き方を覚えられる
- 交友関係が広められる
- 勉強しなければならない時間を作れる
- 勉強をしやすくなる
- わかりづらいところを集中して学べる
それぞれ解説していきますね。
メリット1.:問題の解き方を覚えられる
問題の解き方とは、問題自体の考え方のことです。
例えば、15×20という問題があったとします。
この問題を解く場合、筆算と九九ができれば、ほとんどの子どもが間違えずに解くことができるはずです。
しかし、この問題が「20人の人が15個ずつみかんを持ってきました。合計は何個になりますか?」という問題になると、実は意外と子どもは混乱してしまいます。
このミスの理由は問題が読み取れないことが原因ですが、小学校のクラスでは、算数を教えることに手一杯でそこまで手が回りません。
ですが、塾であればこうした「問題の読み取りミス」にまでしっかりと教えてくれるところがほとんどです。
問題の読み取りミスを減らすことは、算数以外の、他の教科でも重要なことなので、自然とテストの点数もあげることができます。
メリット2:交友関係が広められる
子どもは親の背中を見て育つと言われていますが、子どもが見るのは親の背中だけではありません。
教師、友達、近所の人、兄弟姉妹など、子どもはあらゆる人の影響を受けます。
特に小学生の間は、子どもは思春期に向けて自分の中で価値観を育む時期です。
そのため、子どもの交友関係を広めることは、様々な価値観を育むために重要なことの1つなのです。
塾長
その点、学習塾では普段関わらない他の地域の子どもと関わったり、塾の先生という、子どもが関わらないタイプの大人とも関わることができます。
普段公立の小学校に通っている子どもが中学受験を目指す学習塾に行けば、私立小学校の子どもと知り合ったりすることがあるかもしれません。
もちろん、逆のパターンもあるでしょう。
学習塾は、小学校の子どもが人を知り、それは社会を知る手段にも繋がるわけです。
3. 勉強しなければならない時間を作れる
テストの点数をあげるため、最も必要なのは時間です。
逆にいえば、時間をかけなければテストの点数はあがりません。
家にいると様々な誘惑があるので、どうしても勉強をする時間すら作れない子どもが多いです。
しかし、学習塾であれば、少なくとも塾にいる時間は必ず勉強をすることになります。
また、学習塾の先生から宿題が出れば、それをする時間も子どもの中でやりくりしなければなりません。
このように、学習塾に行くことは、「勉強をする時間」を定められる点が大きなメリットとなるのです。
すると、勉強をする時間が習慣となり、勉強をすることが当たり前になります。
そうなれば、親御さんたちが勉強をしないことに悩むこともなくなるはずです。
メリット4.:勉強をしやすくなる
学習塾では「勉強をすることは当たり前だ」という空気が広がっています。
勉強は嫌いだ、と公言する子どもは多いと思います。
それは勉強するよりも魅力的なことがたくさんあり、勉強をすることがその時間を減らしてしまうことに繋がるからです。
特に小学生の間では、仲間内で「勉強なんて嫌いだ、いらない」という空気が出来上がってしまいがちです。
しかし、学習塾に通うことで、同年代、あるいは自分よりも小さな子どもが勉強をする姿を見ることで、子どもが勉強しやすくなるのです。
塾長
また、学習塾では学習を重ねるうえで「わかる」という経験を積み重ねることができます。
そうした「わかる」という経験をすることで、子どもが自分自身を「できる人だ」と思えます。
つまり、これまでは自分が勉強のできない人間だと認識していた子どもが、「わかる」経験を積み重ねることで、「自分はできる人間だ」と思えるのです。
すると、勉強にも身が入りやすくなり、さらに勉強しやすくなります。
勉強をする空気を子どもに味あわせることも、学習塾の大きなメリットです。
メリット5.:わかりづらいところを集中して学べる
学習塾では、基本的にわからないことがあればすぐに塾の先生に質問してわかるまで教えてもらうことができます。
小学生の勉強の恐ろしいところは、一旦つまづくと、後々までそれを引きずってしまうという点です。
例えば、割り算でつまづいてしまうと追いつくのが大変になってしまいます。
ところが、学校では「わかるまで教える」ということが難しいのです。
教師が1人の子どもに割ける時間は限られているので、一旦つまづいてしまうと、どうしても子どもが置き去りになってしまいます。
もちろん、明らかに学習に遅れが出ている場合は担任が手を差し伸べてくれるでしょう。
しかし、小学校の場合は「わかっていないのにテストの点数が良い」ことも少なくありません。
割り算を例に出せば、「10÷5」は2になることがわかっているけれど、10÷5がどんな計算を行うのか、全く理解していないことが多くあります。
ひとりひとりの子どもと関わる時間が少ない教師はこうした事態に気がつくのが難しく、気が付いてからでは手遅れになってしまうこともあるのです。
塾長
しかし、塾であれば宿題や頻繁なテストによってひとりひとりの問題が理解しやすく、「何がわかっていないのかをわかる」ことができます。
そして、そうしたわかりづらいところを集中して学ぶことで、小学校で躓いてしまうという可能性を減らすことができるのは大きなメリットです。
小学生を学習塾に通わせることで起こる4つのデメリット
メリットだけを見ると「私の子も塾に通わせたほうがいいから?」と思うかもしれせん。
ただ、学習塾にはメリットしかないというわけではありません。
学習塾に行くことがデメリットになる場合もありえます。
具体的には、以下の4点はしっかりと抑えておきましょう。
- 子どものプライベート時間が減る
- 勉強が嫌いになる可能性がある
- 親の負担が増える
- 学校の授業を聞かなくなる可能性がある
デメリット1: 子どものプライベート時間が減る
学習塾に通うということは、それだけ子供のプライベートな時間が減るということ。
子どもにとって、学校に行っていない時間というのは非常に重要な時間です。
プライベートな時間の大切さは大人にとっても理解できるところだと思います。
しかし、子どものころのプライベートな時間は、大人のそれよりも大切な時間なのです。
なぜなら、誰にも指示されない自由な時間とは、自我を育てるための時間だからです。
自分で考え、自分で時間の使い道を決めるということは、社会に出てから非常に重要なスキルとなります。
ですので、小学生のころはとくにかく自由に遊ばせたり勉強させると思っている家庭では、まだ塾は考えなくてもいいでしょう。
デメリット2:勉強が嫌いになる可能性がある
学習塾では、勉強をすることが基本です。
そのため、子どもに塾へ行かせることを強制してしまうと、勉強が嫌いになる恐れがあります。
例えば、
- 「嫌いでもやらなければいけない」
- 「小学生にとって勉強は仕事だから好き嫌いは関係ない」
そう考える方もいるかもしれません。
しかし、勉強が嫌いになってしまうと、子どもは進んで勉強をしなくなってしまいます。
そうなれば、どんどん学力が落ちていってしまうのは明白です。
そのため、無理矢理学習塾に行かせることは特に小学生のお子さんにとっては、大きなデメリットになる可能性が高いことも覚えておきましょう。
塾長
デメリット3.:親の負担が増える
学習塾は、時間を奪うという意味では子どもの負担です。
しかし、子どもが学習塾に通うことで負担を強いられるのは子どもだけではなく、親も同様です。
一番の負担は学習塾への費用でしょう。
月謝・参考書をはじめとして、金銭的負担は少なくありません。
月謝が仮に月1万円前後だとすると、1年に12万円。
これが年月を重ねれば重ねるほど、負担は大きくなります。
また、時間的負担も大きいです。
例えば、送迎の時間、塾探しの時間など、塾生活のせいで趣味が楽しめなくなったという保護者様がいるのも事実です。
もちろん、子どものためならどれだけ時間や金銭を使っても構わないという方も多いと思います。
しかし、学習塾に行くことによって生じる時間的、金銭的損失については把握しておきましょう。
デメリット4.:学校の授業を聞かなくなる可能性がある
学習塾のほとんどは、現在小学校で教えている勉強もよりも先の勉強などをやらせることが多いです。
掛け算を教えている時に二桁の掛け算を教えるという塾も少なくありません。
もちろん、それ自体は子どもの学力を補強するために大事なことです。
しかし、そうした高度な内容を教えるせいで、子どもが学校の授業に興味をなくしてしまうことがあります。
勉強の内容を理解しているのならいい、と考える方もいるかもしれません。
ただ、学校の授業にはテストで高い点数を取る以外にも大切な要素がたくさんつまっているのです。
塾長
特に中学受験のために学習塾へ通っている子どもに多いのですが、「もう聞いたから」と考えて、大事な授業を聞き流してしまうのです。
そのせいで、テストの点数以上に重要な、未知の問題に対する考え方などを取りこぼしてしまう可能性があります。
その結果、少しひねった問題への対応力がなくなり、考える力が育たないケースも多々あるのも事実です。
【結論】小学生を学習塾に通わせるかどうかは「やる気」が大切
最初に、結論からいえば、
YESでもありNOでもある。
という答えを言いました。
メリットやデメリットを知って、その意味は少しは分かっていただけたでしょうか?
ただ、もしそれでも悩んだ場合は、子どもが塾に通うことに対してやる気があるかどうかを確認して上げてください。
なぜなら、作業的に問題や宿題をこなしても、「考える力」をはじめとした、本当に重要な力は身につかないからです。
いくら高額な塾に行っても、子どもがやる気になければ塾に通わせても、本人にやる気がなければ学力がつくことはないでしょう。
勉強に対して必要性を感じ、自分から机に向かってはじめて、塾は子どもに大きなメリットを与えてくれます。
そのため、本人のやる気が大切です。
将来が心配で通わせるなら必要性を言ってあげる
ただ、子どもの将来を心配して、どうしても子どもの意思とは関係なく塾に行ってほしい、という親心もわかります。
その場合は、一方的に子どもに塾を押し付けるのではなく、塾へ行く必要性を子どもと話し合いましょう。
「親の立場としては、こういう理由で塾へ行かせたいと思っている」ということを、正面から話し合ってください。
このとき、感情的になったり、親という立場を利用して押し付けをしたりしてはいけません。
例え相手が小学生であっても1人の人間として扱い、塾の必要性を話し合いましょう。
まとめ
小学生が塾に行くのは今や普通です。
実際、小学生から中学生にかけての通塾率は増えつつあります。
しかし、誰もが塾に行かなければならないというわけではありません。
なぜなら、子どものやる気がなければ塾の効果を期待することができないからです。
学習塾のメリット・デメリットを紹介しましたが、デメリットをデメリットと感じない子どももいれば、逆にメリットがほとんどない子どももいます。
その分かれ目になるのが、子どものやる気です。
子どもがやる気を出しさえすれば、学習塾のメリットはより大きいものになります。
逆に、子どもにやる気がなく、親の権限で無理矢理塾に行かせてしまうと、デメリットばかりが目立つという結果に終わってしまいます。
メリット・デメリットを考えて塾に行かせるかどうか考えることも大切ですが、子ども自体が塾に前向きかどうかはさらに大切です。
子どもを塾に行かせるか悩んでいるという方は、ぜひ参考にしてみてください。
塾長
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