英語の資格として代表的なものの一つといえば、英検。
英検の取得級は英語の力がどれくらいかわかる指標にもなり、履歴書等でしっかり示すことできる資格の一つです。
保護者の方々も一度は受けたことがあるという方も多いと思います。
この英検も現在の大学受験や英語学習の目標にそって新しい試みも始まっています。
ただ、自分が受けた時と違って、
- 英検っていつやるんだっけ?
- 英検の種類は変わってない?
- 出題形式と合格基準は?
- 中学生ならどんな勉強をすればいい?
など、疑問を持つ保護者様も多いです。
そこでこの記事ではそんな英検の仕組みや受験のメリット、そして英検取得に向けた勉強方法について解説していきます。
英検の取得を考えているお子さんをお持ちの保護者はぜひ参考にしてみてください。
塾長
英検の仕組みは?徹底や種類、合学率や基準について
英語の力を客観的にみる試験はいくつかありますが、中学生に馴染みがあるのはやはり英検。
ただ、初めて英検を受ける方にとってはそもそも英検が仕組みがわかない方も多いと思います。
ですので、まずは英検の実施時期や種類、合学基準など基本的なことをここでは解説してきます。
英検の実施時期と英検の種類
英検は、公益財団法人日本英語検定協会が文部科学省公認の元行われている、英語の学習レベルをはかるテストです。
参考 英検について公益財団法人日本英語検定協会年に3回、6月、10月、1月に1次試験が実施されます。
実施は5級から1級まで7段階あり、読む、聞く、書く、話すの4技能の習得を確認する内容になっています。
受験場所については、リスニングテスト・筆記テストについては、中学校や通っている塾で受験できる場合もあります。
ただ、3級以上から行われる2次試験は個人面接の形で、スピーキングテストとして一般会場で受験します。
中学生にとって、初めての学校・塾以外での受験となることもあるでしょう。
この学校外での受験経験は、高校受験などで生かされるので、雰囲気だけでも味わうのはおすすめです。
ちなみに、日本英語検定協会が実施する英検の中には、実用英語技能検定、英検Jr、英検CBTを含め、いくつかの種類があります。
この記事では広く一般に「英検」として認知されている、実用英語技能検定についてお話しています。
試験概要の詳細は英検のホームページもぜひ確認してみてください。
参考 英検の概要公益財団法人日本英語検定協会英検の出題形式と合格基準
英検の出題形式と、試験時間は各級によって異なっていますが、大きく分けて
- 筆記試験とリスニングテストを行う1次試験
- スピーキングをテストする2次試験
この2種類があります。
5・4級のスピーキングテストは2020年より実施される新しい形式です。
合否には影響ありませんが、受験が推奨されているようです。
こちらについては後ほど詳しくお話しします。
中学生が受験する可能性の高い5~3級について、試験内容・時間は下の表のようになっています。
5級 | 4級 | 3級 | |
---|---|---|---|
1次試験:筆記 | 25分(選択問題) | 35分(選択問題) | 50分(選択問題、ライティング) |
1次試験:リスニング | 約20分(選択問題) | 約30分(選択問題) | 約25分(選択問題) |
2次試験:スピーキングテスト | 約3分(録音型面接*1) | 約4分(録音型面接*1) | 約5分(個人面接) |
*1 5.4級の合否には影響を与えません。
詳しくは英検のホームページも参考にしてみてください。
参考 5級の試験内容公益財団法人日本英語検定協会 参考 4級の試験内容公益財団法人日本英語検定協会 参考 3級の試験内容公益財団法人日本英語検定協会また、各級の合格基準については
「各回の全答案採点後、統計的手法(Item Response Theory*)を用いてスコアを算出しているため、受験者の皆さまがご自身の正答数でスコアを算出することはできません。
※Item Response Theoryとはテストにおける受験者の応答パターンを用いて、形式や難易度が異なるテストの結果を比較するための理論です。」
とあります。
ですので、各問題の配点や、合格基準点のようなものはありませんが、各技能ともに、約60%の正答で合格となっている場合が多いので、覚えておきましょう。
中学生の英検取得目標
英検の取得を目指しましょう、と言われることが多いですが、目安はある程度は先程紹介しましたが、実際には中学生ではどのくらいの級を目標としたら良いのか悩むという方も少なくありません。
実は英検では小学生でも受けるお子さんもいるので、受験できる年齢や級については決まりはありません。
ただ、中学で本格的に英語の勉強を始めた場合、1年生で5級、2年生で4級、3年生で3級の取得を目指すのが一般的です。
各級の取得の目安(レベル)が以下の通りです。
各級 | 取得の目安 |
---|---|
5級 | 中学初級程度(中学1年生レベル) |
4級 | 中学中級程度(中学2年生レベル) |
3級 | 中学卒業程度(中学3年生レベル) |
準2級 | 高校中級程度(高校1〜2年生レベル) |
2級 | 高校卒業程度(高校3年生レベル) |
準1級 | 大学中級程度 |
1級 | 大学上級程度 |
問題に出てくる単語について、それぞれの級では、中学校で学んだ単語だけが出てくるわけではありません。
教科書の中で出てきたものだけではない可能性があります。
しかし、先程も紹介しましたが、英検は約60%の正答率で合格となりますので、決して1問間違えたから不合格というわけでははありません。
いくつかわからない単語があっても、恐れずに受験してほしいと思います。
また、文法的な内容については、各学年で勉強していることがきちんと理解できていれば解ける内容です。
中学3年間での英語力の確認として、3級の受験をして、二次試験で学校とは異なる会場での受験を経験し、高校受験の準備にもなるのです。
ただし、注意点をして高校受験に英検を活用する場合は、中学3年生の10月実施の第2回検定までに受験することが必要になります。
10月であれば、新しい文法事項もある程度学習済みとなりますので、後ほどお話しする問題集などに少し取り組むことで、十分対応可能です。
また、合格率については2016年以降公開されていませんが、それまでの過去の合格率は以下のようになっています。
- 英検3級:合格率は50%を超えており、難易度は高くない試験です。
- 英検4級:合格率は70%前後と、易しめの試験です。
- 英検5級:合格率は80%を超えており、非常に易しめの試験です。
4・5級でのスピーキングテストがスタート
大学入試等でも英語の「読む、聞く、書く、話す」の4技能を重視する流れに対応するため、最新の2020年7月の受験より、4・5級のスピーキングテストがスタートします。
英検4・5級の受験を申し込んだ受験者全員が受けられるテストで、インターネット上またはアプリを通じて、専用の受験サイトにアクセスして約5分程度の試験です。
合否については、従来の実用英語技能検定4級・5級とは別にスピーキングテスト4級・5級として認定。
そのため、実用英語技能検定4級・5級そのものについては、一次試験の結果のみで級としての資格を認定されます。
これからの英語の力として、使える英語を身につけるため、またその力を測るテストとして実施されますので、しっかりチャレンジして、3級受験にも備えていってください。
参考 4・5級スピーキングテストについて公益財団法人日本英語検定協会中学生で英検を取得する3つのメリット
グローバルな社会になる中で、小学生から英語が必修となり、英語教育が大きく変化しています。
そうなると、
「目標とする英検の級を取得できた場合、どんなメリットがあるのか?」
という部分は気になりますよね。
ここでは、そんな英語の力を客観的に示すことのできる英検取得のメリットについて3つポイントをピックアップしてみました。
- 高校受験、大学受験で活用できる
- 身近な会場で何度でも受験できる
- テキスト
メリット①:高校受験、大学受験で活用できる
現在、英検を取得することで高校、大学入試で優遇される場面がとても増えています。
英語力の証明として、受験点数に加点される場合だけではありません。
入試の学科試験で、英語の受験そのものが免除されたり、取得の級によっては入学金・授業料免除や英語科目の単位認定などが行われる場合もあります。
中には私立の中学を受験する場合、英検取得をしていることがアドバンテージとなっているという状況もでてきました。
さらに、英検は、日本国内だけでなく、海外の大学で英語力の証明資格として認めらつつあります。
中学校で3級取得はもちろんのこと、英語が得意な場合は小学校の頃より取得を目指し、中学校でさらに上を目指してみるのもよいでしょう。
また、中学校の間だけに関わらず、高校へ行ってからも、英語力定着の確認として、英検にチャレンジし続けてほしいと思います。
メリット②:身近な会場で何度でも受験できる
受験回数について、高校入試が1日勝負なのに対して、何度でも受験可能であることはとても大きなメリットです。
受験会場は、全国各地で受験可能な上、通学している中学校で受験が可能な場合もしばしばです。
勉強の出来具合によっては、それぞれの級を順番に受験しなければいけないという決まりもありません。
そのため、自分が受験する級に対して、事前にしっかり準備することができます。
対策のための教材も、本屋にたくさんならんでおり、いつでも勉強が開始できます。
英語が苦手な人ほど、英検であらかじめ英語力を証明しておくことは、高校受験等での活用を考えても、とても有利に働くでしょう。
また英検は、5級から1級までありますが、いつでもどの級からでもチャレンジできます。
例えば、中学1、2年生の時に英語が苦手でチャレンジ出来なかったとしても、3年生になってから5級にチャレンジしても良いのです。
中学3年生で3級取得をめざしたいところですが、そうでなくて構いません。
英語の学習がどれくらい身についているのかの確認し、この先も続くの英語学習に対する自信となりますので、ぜひ取得を目指して欲しいと思います。
メリット③:海外留学にも有利
国際化が進む現在、高校や大学の間に海外留学をして、語学力の向上や海外の理解を深めようとする学生が増えています。
人数でいうと、全国で約46000人の高校生が留学をしています。
高校生の約1.5 %ほどですが、多い県では約3%の高校生が留学。
30~40人のクラスで約1人ということですので、そう思うと思っていた以上に身近に感じるのではないでしょうか。
このように留学を行うためには、もちろん最低限の英語力が必要となり、学校などでの選考をパスする必要がでてきます。
そんなとき、英検を取得していれば、何よりの英語力の指標となるのです。
大学生・社会人ではTOEIC(トイック)やTOEFL(トフル)などが留学や就職に有利となる資格とされていますが、英検も留学に対して有利となります。
英検は日本国内での資格ではありますが、年々海外で英語力の指標として取り入れられてきており、世界的にも信頼度の高い資格として認知されつつあります。
留学のためとなると3級よりも上の級を要求されることもあるでしょう。
しかし、中学生の間に英検の受験を経験しておけば、試験の流れや2次試験の雰囲気もわかっているので、知識を増やして自信をもって上の級も目指していけるはずです。
中学生が英検に合格するためにやりたいおすすめの勉強法
英検の仕組みやメリットはなんとなくわかっていただけたでしょうか?
ただ、1番気になるのは
「中学生が英検取得するためにはどんな勉強に取り組めばよいのか?」
この部分だと思います。
そこでここからは中学生になって本格的な英語の勉強を始めた場合に抑えておきたいポイントを3つ紹介します!
- 学校の勉強を大切にする
- 問題確認のためにも問題集に取り組む
- スピーキングテスト対策にはラジオ英語
学校の勉強を大切にする
英語の勉強は、決して英検の受験のためだけに行うものではありません。
学校での授業をきちんとうけ、宿題をして、定期テストに備える。
これが、何よりの英検の勉強法です。
各地域の中学によって、取り扱われる英語の教科書は異なります。
しかし、どのような学校であっても、公立の中学であれば、1年間で習得する内容は同じです。
多少取り扱われる単語が違っていたり、文法事項の取り扱われる順が異なることはありますが、これは英検の受験には、何ら支障にはなりません。
つまり、学校の勉強がきちんと身についていれば、例えば5級であれば、中学1年生の1月の受験で十分合格を狙えるのです。
今後、新しく始まるスピーキングテストについても、教科書の音読を発音に注意しながらしっかり行っていれば、問題ないと考えられます。
ただし、発音やイントネーションなどは自分のクセがあったり、間違ったまま覚えていることもあります。
その場合は、学校や塾など、英語の発音が良い先生に一度しっかり聞いてもらうのもおすすめです。
この方法で4級までは問題なく合格できるはずですので、自信を持って学校の勉強にしっかり取り組んで下さい。
問題確認のためにも問題集に取り組む
英検受験に向けて、基本的な学習は学校の勉強で問題ありません。
もし、何の対策もせずに受験したとしても、学校のテストでいつも8割以上できているようであれば、合格する可能性は高いです。
しかし、そんな場合でも、どんな問題が、どのような形態で出題されるかがわかっていればさらに安心して受験できますよね。
そのためにも、本屋さんで英検対策のための本をぜひ1冊手にしてみてください。
英検の2級くらいまでは本当にたくさんの種類の対策本が出版されています。
数ある教材の中でも、特におすすめなのが、試験の全体像がわかり、リスニング対策用のCD等がついているものがよいでしょう。
また、勉強する期間に応じて、「○日間でマスター」などのタイトルも参考に、無理なく勉強できる分量のものを探してみてください。
対策本を準備することで、普段の学校のテストで8割とれていなくても、英検にチャレンジすることは十分に可能です。
また、対策本で勉強した内容は学校の英語の勉強にももちろん通じます。
このように、英検を受験することで、普段の英語学習の予習・復習にもなるのです。
スピーキングテスト対策にはラジオ英語
2020年からは5・4級でも導入される、スピーキングテスト。
示された絵カードを音読したり、その内容の質問に答えたりします。
面接会場に入った瞬間から退室するまで、あいさつから始まり、全ての指示は英語で行われます。
英語でのまさにスピーキング、コミュニケーションも必要になってくるのです。
そのためスピーキングテストの対策としては、英語を普段から聞き、口から発する練習が必要です。
もちろん、学校の教科書の音読は最低限必要な学習で、重要になります。
しかし、これだけではなく、いろいろな表現や英語特有の言い回し、イントネーションなどにはたくさん触れる方が自信にもつながります。
その簡単な取り組み方の一つとして、NHKのラジオ英語がおすすめです。
参考 英語のラジオ番組NHK ゴガク基礎英語0(ゼロ)は中学生前のあいさつや会話等を中心に英語に触れる内容ですが、流れてくるフレーズ、表現は中学生で聞いてもとても勉強になる内容です。
基礎英語1、2、3は各学年の学習内容に沿って、毎週身につけるべき文法に沿ってストーリーを聞き、その中でのターゲット文を中心に学習を進めます。
テキストがあれば良いですが、なくてもリスニングとスピーキングの練習を十分に行える内容です。
聞いてリピートする、この単純だけどとても重要な練習の繰り返しで、少しでも多くのフレーズを覚え、スピーキングの力を身につけてみてください。
【Q&A】中学生の英検受験でよくある疑問
最後に英検の仕組みや受験方法など、よくある質問をまとめてみました。
気になる疑問があればぜひチェックしていただき、英検を受験する際の参考にしてみてくだださい。
英検の受験費用はどのくらいですか。
3〜5級の受験料は2,000円~5,900円です。
3級 | 4級 | 5級 | |
---|---|---|---|
本会場 | 5,900円 | 3,600円 | 3,000円 |
準会場 | 3,900円 | 2,600円 | 2,000円 |
- 本会場・・・全国約230都市・400会場と、海外4都市で実施する公開会場で、申込時に受験地は選択できますが試験会場は指定できません。
- 準会場・・・中学・高校など受験者所属する団体が指定する場所。学校で申込めば、通っている学校で、塾で申込めばその塾が指定する場所が受験会場となります。
本会場・準会場と呼ばれる受験会場によって異なりますので、ご注意ください。
また、中学生は準会場での受験が慣れた空間で少しでも緊張を減らせて、力を発揮できておすすめです。
受験の時の服装はどうしたら良いですか?
1次試験について、学校が受験会場の場合は学校の登校時と同じように制服です。
塾で受験する場合はふだん塾へ通塾する服装で問題ありません。また、本会場で申し込んだ場合も普段通りの着慣れた服が良いでしょう。
もちろん中学校の制服を着て行っても構いません。
また、3級以上の2次試験についても服装に決まりはありません。しかし、もし迷うようであれば中学校の制服を着て行けばこちらも問題ないでしょう。
親の付き添いはできますか?必要ですか?
答案用紙等に住所や氏名の記入があるため、それが難しい年少者には試験5分前まで付き添いが可能です。
しかし、中学生の試験会場内での付き添いは基本的にはできませんし、不要でしょう。
学校が会場の場合など、学校へ1人で通学しているわけですし、住所・氏名なども記載で来ますので必要ありませんよね。
もちろん、本会場や2次試験会場への送り迎え、大きな会場の場合、指定の建物入り口までなど、初めての場所に不安があれば送迎はしてあげましょう。
ただし、会場には多くのスタッフが配置されています。大きな会場でもスタッフに尋ねれば丁寧に案内してくれるはずです。
今後の高校受験等のためにも、思い切って1人で行かせるのも良いかもしれませんね。
まとめ
英検の仕組みとその受験までの勉強方法について、お伝えしました。
英語力向上だけでなく、その力を証明するものとしてもとても有効な資格です。
中学校での勉強を大切にして、英検にチャレンジしていてください。
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